二度はゆけぬ街の地図 まさに外道と言いたくなる貫太


苦役列車芥川賞をとった西村賢太さんの本。私小説苦役列車も面白かったけど、こっちは笑えるという意味で優っていた。まさか純文学として評価される文章を読んで声出して笑うとは思わなかった。
家賃を踏み倒している人間が大家に向かって

たかが一万二千円ぐれえのことで交番にまで駆け込み、あることないこと並べ立てやがって…とんでもねえ畜生共だな、この乞食ジジイに白癬ババアめはよ…そんなに一万二千円が大事だと云うんなら、貴様ら一万二千円の為に余生を台無しにされてみるか

と"呟く"なんて、もはや正気の沙汰とは思えない、実にいい。解説でも取り上げられてたしここ笑うとこだな。
解説者が名付けた"「貫太と清造、ときどき彼女」シリーズ"こと西村作品はまだあるのでとりあえず全部読もうと思う。