僕はお金を使わずに生きることにした


という決断を俺がしたわけではなく、本の題名。
わざわざ海をわたって翻訳されているだけあって、資本主義糞食らえとか吠えまくっている本ではなく、理想を持ちつつ時になやみ、現実主義との折衷案を採用しつつも、貨幣経済ではなくみんなとの様々なものやサービスの分けあいによる自活を行った記録をつづった本。Money EconomyではなくGift Economyがいいよねと.
仲間を募ったり考え方を広めるためにネットをつかったり、移動にはヒッチハイクだけれども車にのったりというように現代文明を否定しているわけではないため、俗世から距離を置いているアーミッシュとはまた違うようだ。
結果としてはうまいこと1年間貨幣とおさらばした生活をまっとうし、社会的にも広く関心をよんだそうで、次のステップであるその理想をある程度の規模で実現するための土地探しを行なっている模様。
正直自分自身は、貨幣経済の恩恵にあやかりまくりの生活を送り、勤めている会社もバーチャルマネー最高フゥー☆彡であり、コメを炊くには炊飯器、お湯も電気ポットでわかし皿洗いは自動洗浄機、食材はもちろん冷蔵庫、という文明の利器に囲まれ、化石燃料に助けられる生活を送り届けており、また貨幣素晴らしいと思っているため賛同できない点は多々ある。がしかし、著者が完全な理想主義潔癖症というと語弊があるけれど、わからずやということもなく、ちゃんと学がありユーモアも交えて自分の考えを語るので読んでいて悪い気分になることもない。自分とは異なる理想に触れることができた素敵な読書体験となりました。